ナポリを見たら死ぬ

南イタリア、ナポリ東洋大学の留学記。なお実際にはナポリを見ても死ぬことはありません。

滞在許可証申請中の出国について

滞在許可証申請中の出国について

あなたはイタリアから出国したり再入国したりできるのか?

結論から言おう。2019年11月7日現在、滞在許可証の新規発行申請中であれば、できる。もしも滞在許可証の更新申請中であると、話はややこしくなるが、できないことはない。

(この記事では学生ビザを念頭に置く。他のビザでは状況が違うかもしれないのであしからず。また、正確な情報を発信するよう努めているが、必ずしも法律的な問題が発生しないことを保証するものではない。)

どういうことか?

「滞在許可証がないとイタリア国外旅行ができない」というのは、留学生の間でまことしやかに囁かれる噂である。なんでも、旅先で入国拒否をされたり、イタリアに戻って来られなくなったりするというのである。一方で、許可証の申請中であっても半券があれば問題ないとか、情報が錯綜していて誰を信じたらいいのか全くわからないのだ。

ぼくがかつてローマに留学していた頃にも、同窓の留学生が、滞在許可証がないので国外が旅行できない、と嘆いていた。一方で問題なく滞在許可証を入手したぼくにとっては他人事だった。

ところが、このたび困ったことになった。ぼくの滞在許可証の申請予約日は2020年の1月下旬だが、できれば年末年始に旅行がしたい。それから、3月に日本へ一時帰国しなければいけない。旅行はともかく、一時帰国はしないわけにいかないのに、それまでに滞在許可証が入手できているのかは定かではない。国外に出られなければ困る。そんなわけでぼくは、噂の真相を確かめたのである。

滞在許可証の新規発行申請中である場合

恐らくこの問題に関わるたいていの人はこちらに当てはまるのではないか。かくいうぼくも、今のところはこの状態である。

この場合、イタリア国外への出国、シェンゲンエリアへの旅行、再入国は問題なくできる。

Il visto d’ingresso per lungo soggiorno (superiore a 90 giorni) assume la denominazione di “Visto Nazionale” (VN) e consente l’accesso per soggiorni di lunga durata nel territorio dello Stato che ha rilasciato il visto e, purché in corso di validità, consente la libera circolazione per un periodo non superiore a 90 giorni per semestre nel territorio degli altri Stati membri. 

ソース (2019年11月7日閲覧)

上記はイタリア外務省ウェブサイトからの引用である。要するに、90日を超える長期滞在ビザを持っている場合、その有効期間内であれば、シェンゲン協定加盟国を自由に往来できる(ただし180日間のうち最大90日まで)のである。また、ビザ自体がイタリアへの入国を許可するものであるため、イタリアへの再入国はビザ期限内であれば何度でもできる。(厳密にはマルチプルビザであれば。)

なので、滞在許可証がなくて旅行できない、などということはない。ただし半券は携帯することをおすすめする。出入国時に説明を求められたりするため。

ただしシェンゲンエリア外に出て、イタリア以外の国から再びシェンゲンエリア内に入ろうとするのはあまりおすすめできない。長期滞在ビザはあくまで発行国への入国を許可するものであるうえ、滞在許可証の半券はイタリア国外では認められず、入国拒否も考えられるからだ。2014年にはオランダ留学中の学生が発行申請中に一時帰国し、フィンランド経由で再入国を試みたところ、フィンランドで入国拒否されたという話がある(シェンゲンエリアではたとえトランジットであっても最初に上陸した国で入国審査が行われる)。この話は一次ソースが見つからないので噂の域を出ないのだが、たしかに、オランダのビザや半券を持っていても、正当な滞在許可証を提示できない以上、フィンランドの入国審査で拒否されてもおかしくはない。同じことがイタリアのビザや半券にも言える。

滞在許可証の更新申請中である場合

学生でこれにあてはまる人は少ないだろう。たいていは一年内の留学で帰国してしまい、更新することがないからだ。ところがぼくは来年夏には更新手続きをすることになる。そのため、備忘も兼ねて情報を整理しておく。

[Domanda n.10729] 

Ho un regolare permesso di soggiorno, giorni fa ho chiesto il rinnovo, siccome vorrei andare per qualche giorno nel mio paese di origine, posso farlo avendo solo il cedolino di richiesta di rinnovo che mi è stata rilasciata da poste italiane?

Si, lo straniero in possesso della ricevuta di richiesta di rinnovo del permesso di soggiorno, può uscire e rientrare nel territorio nazionale, a condizione che:

- L'uscita e il rientro avvengano attraverso lo stesso valico di frontiera

- Esibisca il passaporto o altro documento equipollente, la ricevuta della presentazione dell'istanza di rinnovo del permesso di soggiorno oppure della carta di soggiorno, copia o originale del titolo di soggiorno scaduto del quale è stato chiesto l'aggiornamento

- Il viaggio non preveda il transito in altri paesi Schengen.

ソース(2019年11月7日閲覧)

 上記はイタリア国家警察ウェブサイトの引用である。話がややこしくはなるのだが、更新申請中であっても、イタリアからの出入国できる。ただし:

  • 出入国を同じ国境地点で行うこと
  • パスポート、更新申請中であることを証明する半券、期限の切れた滞在許可証を提示すること
  • ほかのシェンゲン協定加盟国へ移動しないこと

上記が条件となる。つまり、ほとんどのヨーロッパ諸国へは旅行ができないことになる。まあ、実際には、イタリアーシェンゲン協定加盟国間では国境検査がないわけで、取り締まれるとも思えない。ただし、日本へ一時帰国する場合などは話が変わってくる。シェンゲン協定国内でトランジットをすることができないからだ。イタリア↔ドイツ↔日本、のようなありがちなルートが使えない。この場合、イタリアから出るときに出国拒否されたりするんだろうか?出国拒否なんてあり得るんだろうか?よくわからないが危険は冒さないほうがいいだろう。逆に、日本からイタリアへ再入国するときも、シェンゲンエリアを経由すると入国拒否されたりする事態になるのだろう。恐ろしい話である。なので、たとえば日本へ一時帰国するときには、直行便を使うか、シェンゲンエリアを経由しない便で帰国しなければならない。まあ、トランジットするとしてもロシア、トルコ、韓国等々、いろいろと選択肢はあるのでそんなに困ることはないだろう。残念なのはシェンゲンエリアを旅行してはいけないことだ。ヨーロッパの多くの国へ行けないことになってしまう。イギリスはシェンゲンエリア外なので行けるけれども行きたくもない。名物料理のフィッシュアンドチップスすらおいしくないし。