ナポリを見たら死ぬ

南イタリア、ナポリ東洋大学の留学記。なお実際にはナポリを見ても死ぬことはありません。

アルティメットについて:イタリア代表選考会

ぼくは今、ボローニャに向かっている。ナポリからフレッチャで3時間半だ。

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フレッチャというのは写真の電車のことで、日本で言う新幹線みたいなものだ。今日は全国的な鉄道のストライキが実施されているのでどうなるかと思ったが、フレッチャには影響がなくて助かった。

なぜボローニャに向かっているのかというと、明日、パルマでアルティメットのイタリア代表選考会があり、それに参加するからだ。選考会が昼前から行われるので、前泊しないと間に合わないのだ。とりあえず今日のところはボローニャに泊まり、明朝さらにパルマまで北上する。ナポリのアルティメッターは楽ではない。

アルティメットというのはフリスビーを使ったチームスポーツで、まあなんてことはないどマイナー競技だ。「審判がいない」ことが特徴だとか、2028年ロサンゼルスオリンピックの競技種目化を狙うとかで、ちっぽけなアルティメット界は盛り上がっているのだが、ゴルフもカーリングも審判はいないし、なんだかんだで公式戦にはゲームアドバイザーとかいう半分審判みたいな存在がいるので、そこまで画期的だとも思わない。そしてオリンピック競技種目化を狙うのは大変結構なことだが、足もとでは河川敷の公共スペースを勝手に占領し、スパイクで芝生をめちゃくちゃに破壊しているアルティメッターだらけであることを日本フライングディスク協会は認識すべきだと思う。協会としてこの無秩序を放置していていいのか。

話が横道にそれた。ともかくぼくは明日、イタリア代表選考会に参加する。何を言っているんだと思われるかもしれないが、イタリア人でなくともイタリア代表になることができるのだ。最近話題となったラグビーと同じで、いくつか要件はあるのだが、その国の居住者であれば他国人であっても代表になることができる。もちろん、実力があればの話だが。

実を言うとぼくはすでにイタリア代表を経験したことがある。もう5年ほども前のことになるが、たまたま運良く、23歳以下の代表に選ばれた。今となってはいい思い出だが、当時は酷いものだった。その年にロンドンで開催された世界選手権に向けて結成された代表チームだったのだが、合宿を兼ねて前哨戦として参加したオランダの大会では、ようやく成人したばかりのチームメイトに皆でカンパしてアムステルダムの有名な飾り窓地区へ行かせたり、大麻を吸ったり、これが国の代表でいいのかと疑問に思わざるを得ない醜態を晒していた。本番であるロンドンでは滞在費節約のため12人用のアパートに28人で泊まり、当然ベッドが足りないので半数以上が床に寝る始末だった。そんな状態なのでまともにチームが機能するわけもなく、全5日間かそこらで1勝8敗とかだったと思う。初日に1勝したあとは全部負けたわけだ。おまけにぼくは2日目に肩を脱臼して以降出場すらできなかった。負けが続くともともとめちゃくちゃだったチームはますます崩壊していった。コーチの言うことを聞かずに喧嘩になり、試合を途中で放棄してタバコを吸いに行くやつがいたり、コーチはコーチで相手チームに暴言を吐いて大会から追放処分を受けたり、笑えるのだが笑えない。でもそんなことがあったけれど今でも皆元気にアルティメットをしているし、追放されたコーチは今もコーチを務めている。このくらいの代表チームだったならばスノーボーダーの國母氏も伸び伸びやれただろうに。彼は生まれる国を間違えたのかもしれない。