ナポリを見たら死ぬ

南イタリア、ナポリ東洋大学の留学記。なお実際にはナポリを見ても死ぬことはありません。

滞在許可証の申請で疲れ果てた

 

www.napoli-muori.com

 滞在許可証の発行申請は郵便局から行うのだが、昨年9月半ばに申請をしてから4ヶ月、ついに移民局への出頭日がやってきた。

指定されていた時間は11時半だったのだが、余裕を持って少し早めに行ったところ11時についてしまった。まあ、早く来た分には良いだろうと思ったが、ここで重大な事実が判明する。なんと予約時間には何の意味もないのだ。結局、移民局の入り口で整理券を受け取り、自分の番号を待たなければならない。ぼくは99人待ちだった。この時点でもうすでに帰りたくなる。

待てど暮らせどなかなか順番は回ってこない。1時間に30人ちょっとしか進まないので、「まあ14時くらいには・・・」などと計算しては絶望していた。3時間近くがたち、ようやくぼくの順番が回ってこようかというタイミングで、「一旦締めますから皆さん外に出てください!!」などと係員が言い出した。お昼休憩である。そんなわけで待合室にいた全員が外に追い出され、ぼくは40分ほども余計に外で待つことになってしまった。

お昼休憩が終わると、ようやく順番が回ってきた。ぼくは窓口へと向かい、用意していた申請書類を提出する。係員がぼくの書類をチェックしていく。デュエルスタンバイ!さっそく、係員は「これ、原本ですけどコピーが必要なんですよ」などとわけのわからないことを言い出す。なんでも、召喚状には原本が必要とはっきり書かれていた大学の入学書類と保険書類はコピーが必要なのだそうだ。一体コピーが必要だなんてどこに書いてあったんだろうな?ともかく、たまたまコピーを取っていたのでそれを差し出す。すると今度は、「この保険、期限が去年の8月ですけど・・・」などと言う。よく見ると、それは保険の期限ではなく領収書の発行日である。「いや、それは領収書の日付で、期限はこっちですよ」と正しい日付を示すと納得してもらえた。このあたりからぼくの緊張感が高まってくる。こいつ、やばいぞ。いちいちケチをつけてくるタイプの係員だ。たのむ、どうにか上手く行ってくれ・・・!そんなぼくの思いをよそに係員は斜め上を行く「住居の証明書類はありますか?契約書類でも受け入れ承諾書でも、何かしらの」。は?いや、持ってるわけねえだろ!「いや、ないですよ!そんな書類が必要だなんてどこにも書いてないじゃないですか!」「でもね、我々としては必要なんですよ」「いや、だから!ウェブサイトにも召喚状にも必要書類として記載されてないじゃないですか!一体なんの根拠があってそんなものを要求するんですか!」「必要なんですよ」。埒が明かない。絶望的な気持ちで念の為持ってきた書類を確認してみると、あった。コピーが一部だけ。「これでいいですか!?」半ばキレ気味で書類を差し出す。「構いません。ただ、コピーがもう一部必要です」。こいつはバカか?「いや、コピーなんてないですよ」「じゃあコピーしてきてください」「どこで!?」「外でもどこでも」。ぼくのイライラは頂点に達する。「あのねぇ、そもそも必要書類として知らされてないんだから、コピーなんてあるわけないでしょ。一体どんな根拠で書類が必要なんですか!?」「だから、必要なんですよ」。もう堂々巡りになっている。しかし外でコピーをしてこいなどと言われてもどこにコピー屋があるかもわからない。一方で書類を出さないことにはこの石頭を納得させることはできない。「・・・じゃあせめて、書類のコピーくらい中でやってくれませんか」「いいですけど、多すぎるから一部しかコピーしませんよ」。初めからそうしろよ。おまけに多すぎるって言ってもせいぜい10枚だぞ!どんだけ怠けてやがる。ところが係員はさらに一歩踏み込む。「それとも、ほかにコピーをお持ちなら、これをそのまま出してもらっても構いませんよ」。言われてみればそれもそうだな。たしかにぼくはPDFのデータを持っているからこれを渡したところで困らない。でも、君どんだけ立ち上がってコピーしたくないの?ともかく、ようやく窓口の係員とのデュエルが終わる。次は指紋の採取だ。そのうち呼ばれるから、別室で待っていろと案内される。

そしていつまで経っても呼ばれない。おお、もう・・・。石頭のくそ係員とのデュエルから1時間、この時点で合計5時間近くを移民局で過ごしている。もう帰りたい。おまけに、配達を明日に指定したAmazonの宅配がなぜかぼくの家の前まで来ているらしい。配達員から電話があり、「誰もいないんですか?」などと言う。そりゃあ配達指定日は明日だからな。いるわけねえだろ!

そうこうしているうちに、ようやく、指紋採取のために呼び出される。ぼくと、アジア系の女性が二人同時だ。指紋採取を担当する係員がぼくらの名前を確認したあと、ぼくに向かって言う。「この中国人、本当に何もわかってないから、彼女を先にやるよ」。ひどい言い草に思わず苦笑いしてしまう。いや、たしかにその中国人女性はイタリア語がわからないようで、通訳を介して会話していたが、そこまで言う?まあ、唯一気になったのは、その女性が最近流行りの電動キックボードを乗り回していたこと。移民局の中で。さすがに自由過ぎる。

彼女の指紋採取が終わり、ぼくの順番がやってくる。指紋だけではなく、身体的な特徴も記録する必要があるらしく、係員が何やらパソコンに打ち込んでいる。係員が無言で入力するのを黙って見続けること数分、「君、身長いくつ?177cmかな」。あまりにも唐突な質問のうえ、大きく身長を読み違えている。実際にはギリギリ170cmなのに。「いや、もっと低いですよ」「175cmか?まあいいだろう」。いいのか。

結局、指紋を全部取られてようやく手続きが終わった。このあと、40日以内には滞在許可証が発行されて受け取れる、というのが一応の規定だが、もちろんそんなに上手くはいかないのだろう。ぼくとしては、許可証の期限である7月までに受け取れるかどうか怪しんでいる次第である。