ナポリを見たら死ぬ

南イタリア、ナポリ東洋大学の留学記。なお実際にはナポリを見ても死ぬことはありません。

Quidquid latine dictum sit, altum videtur

なんのことはない。タイトルは「なんであれラテン語で述べられたものは、格調高く見える」というだけのラテン語である。

10月から修士課程2年目に突入し、まだ来年の話ではあるが、後期にラテン文学の授業があるのだ。それに向けて、ラテン語演習の授業が週一回で開講されているので、今期から受講している。ただ、この授業は本当にゼロからのスタートなのに対し、僕は以前から半ば趣味でラテン語を勉強しているので、一番やさしい部類と言われるカエサルやネポスくらいなら読める程度の能力はある。とはいえ、週に一度であれ、定期的にラテン語に触れるのは悪くないし、今までずっと独習でやってきたので、意外と土台に怪しいところもあるかもしれないと思って、授業を追っている。それに、結局何かしら演習の単位を取らなければならないので、どうせラテン語で取れるならそれでいい。周りのイタリア人学生も、「高校で勉強したけど来期に備えてラテン語を思い出しておきたい」などと、似たような動機で受講しているラテン語既習者が多い。

ともかく、授業では文法事項を確認したり、ラテン語のテクストを翻訳したりする。いまのところは動詞の活用や名詞の曲用くらいの単純な文法事項しかないのでたいしたことはない。そのうち込み入ったテクストや詩を読むようになるのが楽しみだ。

ところで、演習の授業だけあって、毎回、演習問題が宿題として課される。といっても宿題は義務ではないので、気が向いたらやればいい。演習問題は翻訳がメインだ。僕としてはラテン語→イタリア語訳でラテン語の理解力を高めると同時にイタリア語の添削まで受けられる一石二鳥だし、イタリア語→ラテン語訳でラテン語作文の添削をしてもらえるのが嬉しい。いままでは独習だったので、ラテン語作文はまともにやったことがなかったのだ。
ということで教授に指定されたとおり、Wordファイルに解答を書いてメールで送付する。すぐに返信が届く。「連絡ありがとう。解答、Teamsに匿名で上げても構いませんか?」。実際、匿名であろうがなかろうが、僕の解答が公開されてもまったく構わないの快諾するが、匿名にしたところで僕の解答であることはバレてしまう。他に外国人生徒がいないので、イタリア語の拙さを見れば誰のものかは一目瞭然だからだ。教授の配慮は親切だが、あまり意味はない。