Ablatus mihi Crispus est, amici,
pro quo si pretium dari liceret,
nostros dividerem libenter annos.
Nunc pars optima me mei reliquit,
Crispus, praesidium meum, voluptas,
pectus, delicias: nihil sine illo
laetum mens mea iam putabit esse.
Consumptus male debilisque vivam:
Plus quam dimidium mei recessit.
私のクリスプスが奪われた、友人たちよ、
もし、彼に値段がつけられるのなら、
喜んで私の寿命を分け与えるだろう。
今や私の最も尊いものが私を置いていってしまった。
クリスプス、私の拠り所、喜び、
心、大切なもの――あの人がいなければ
私の精神はもう何も喜べまい。
うちひしがれて、弱々しく生きていく――
私の半分以上が失われてしまった。
(Anth. 445)
最近全く更新していなかったが、今日、ちょっといい詩に出会ったので、更新がてら書き残しておく。5世紀から10世紀くらいに書かれたと思われる、著者不詳の詩である。なお、題名には「友人」とあるが、(とくに現代の我々の感覚からすると)かなり親密な表現であるので、単なる友情以上のものがあったのかもしれない。そのせいか、私の読んでいるテクストに付属している英訳では、voluptas(ここでは「喜び」とした)が desire となっていた。少し、性的な意味が強すぎるような気がする。