ナポリを見たら死ぬ

南イタリア、ナポリ東洋大学の留学記。なお実際にはナポリを見ても死ぬことはありません。

教授とコーヒーを飲みに行った話

教授のことはちょうど一年前に授業を受け始めた頃から知っているのだが、修論の指導も全てオンラインだったので、今日はじめて対面で会うことになった。ちょうど今日から大学が再開し、教授の授業が終わったら会いましょうという話になったのである。加えて、修論校閲をしてもらうために、僕の原稿を渡す必要があったのだ。

そんなわけで大学にて初面会し、「おっ教授、思ったより身長低いな」などと思っているうちに、近くのバールへと連れて行かれた。コーヒーでも飲みながらお話しましょう、というわけだ。教授はしっかりとスーツを着込んでいるのに、青地に大きく白文字でITALIAと書かれた、サッカー部の高校生が使いそうなリュックを背負っているのが面白い。

コーヒーを飲みながら世間話をしつつ、ちょっとした事情があり、修論の口頭試問の前に一時帰国しなければならないということを相談させてもらう。修論校閲は今週にも終わらせてメールで送るから安心しなさい、卒業については何も心配いらない、と優しい教授。コーヒーも奢ってくれるし、教授はやっぱすげぇや。

さて、そろそろ電車の時間なのでお開き、という段になって、教授は意味不明な発言をした。
「君、飛行機で荷物は預けるんですよね」
「はい、もちろん」
「じゃあ、お金払いますよ、今」
「え?」
「鋏を買ってきていただきたいんですよ」
「あ、ああ。鋏ですか?」
「日本の鋏は切れ味が良いって評判を聞いたんです。僕はもみあげとかヒゲを切るのに鋏がほしくて」
「・・・ご予算は?」
「50−60ユーロくらいで。今お金渡しますよ
「い、いや、こうしましょう。日本に帰ったらちょっと探してみますから、適当に見つけて連絡します」

ということで僕は教授のために鋏のお土産を買うことになった。6000ー8000円くらいの予算でそんなにいい鋏は買えるんだろうか。