ナポリを見たら死ぬ

南イタリア、ナポリ東洋大学の留学記。なお実際にはナポリを見ても死ぬことはありません。

イタリア古典文学の教授に会ってきた

 

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 先日、イタリア古典文学のC教授のもとへ行ってきた。12月初頭に受けた筆記試験の結果を知る必要があったからだ。

たぶんイタリアの大学はどこもそうなのだろうと思うが、オリエンターレことナポリ東洋大学では教授ごとに面会時間というものが指定されている。たいてい、週に一度2時間程度が設定されていて、その時間に指定の研究室へ行けば教授に会ってお話ができるというシステムだ。

C教授は授業中たびたび、「よかったら皆さんお話にきてくださいね」「特に留学生の皆さんはわからないことも多いでしょうから」などと積極的に顔をあわせることを要求してきていた。というか、C教授はとにかくフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションを取りたがる。フルタイムで働いているので授業に出席できない学生が、事情を伝えてメールで質問をしたところ、「ぜひ会ってお話しましょう」などと言われたというのである。いや、フルタイムで働いてるんだから無理だって言ってんだろ。

そんなわけで、意地でも面と向かって話がしたいC教授と、どうしてもテストの結果を確認しなければならない僕との間で初めて利害が一致したため、僕は指定の時間に研究室へと足を運んだ。

研究室に入ると教授はいきなり不機嫌な様子である。「テストの結果を見せていただきたいのですが・・・」と要件を伝えると、「構いませんが、事前にメールで連絡してくださいね」などと言われてしまった。基本的に面会時間というのはアポなしで行って構わないもののはずなのだが。散々会いに来いと言っていたくせにいざ会いに行くと文句を垂れる。めちゃくちゃすぎる。

ともかく、僕の筆記試験の結果を聞いてみると、ありがたいことに30 e lodeだった。イタリアの大学の成績は30点満点で、よくできている場合にはさらにlodeがつく。lodeとは「賛辞」の意味だが、要するに優秀ということだ。まあ、留学生だから下駄を履かせてもらったおかげみたいなところもあるので、満点なんてもらってもいいのかあまり自信がないが、ともかくこれで口頭試験が免除になった。ありがとうC教授。

さて、無事満点が確認できたのでさっさと帰ろうと思うのだが、C教授が僕を足止めする。「授業のどんなところがよかったか聞いてみましょうか」などと僕に質問してくる。ぶっちゃけ、教授の話、脱線しすぎでしばしば意味不明だったんだよな、などと思いつつ僕は適当に答える。「そうですね、ダンテの『神曲』が彼の他の作品とどのように結びついているか、というのは興味深く学ばせていただきました」などと言ってみるのだが、教授は明らかにうつむいてスマホでメッセージを書いている。お前、話がしたいってあれだけ言っといて人の話を聞かねえのかよ!僕の発言が終わると一瞬の沈黙があり、なんだかぎこちない形で適当に話を切り上げられてお別れとなる。点数をくれたのは感謝するけれど、教授の態度おかしすぎるぞ。