ナポリを見たら死ぬ

南イタリア、ナポリ東洋大学の留学記。なお実際にはナポリを見ても死ぬことはありません。

滞在許可証の申請

イタリアに長期滞在する場合、滞在許可証が必要になる。ビザとは別に、である。

この滞在許可証の申請は、郵便局で行える。申請書類一式を郵便で当局に送りつつ、移民局への出頭命令をもらい、指定された日時に移民局へ行って指紋採取などの手続きを行う。するとやがて警察署から呼び出されて、晴れて許可証が手に入るという流れだ。

こう書くととても単純な話に見えるが、そんなわけがない。お役所仕事が盛大に行く手を阻んでくれる。行く手を阻むのが彼らの仕事なのかなとすら思えるくらいに。

僕は過去にも滞在許可証を取得した経験があるから、最初から半ば諦めていた。当時も取得まで三ヶ月くらいかかったから。ただ、三ヶ月でもかなり早いほうだった。一年間の留学中に滞在許可証ができあがらず、結局最後まで受け取ることなく留学を終えたなんて話もちらほら聞くくらいだし。

ともかく僕は先週、郵便局で申請を出したわけだ。ネットの情報、何より過去の経験から言うと、申請書を提出するとその場で移民局への出頭命令がもらえるはずだった。ところがそうは問屋が卸さない。申請書類一式を提出し、料金を支払うと、窓口の職員にこう言われた。

「はい、じゃあこれが領収書です。これから一週間、遅くとも10日以内に、あなたの住所に書留で出頭命令が届きます。そこに移民局での手続きに必要になるものも書かれていますから、ちゃんと確認したうえで指定された日時に移民局へ行ってくださいね。」

目の前が真っ暗になった。え、出頭命令この場でもらえないの?書留?これ絶対にいつまでたっても届かないやつだ・・・。

イタリアの郵便局はとにかく評判が悪い。とにかく郵便が届かない、消滅する、なぜかボロボロになっている、他人宛の物が届く・・・上げればキリがない。だからこそ全く期待できない。滞在許可証でつまづくのはふつう、手続きが全部終わってもいつまでもできあがらないからなのに、こんな最序盤で困った事態になるなんて・・・。いやまて、まだわからないじゃないか。ちゃんと届く可能性だってないわけじゃない。僕は少し気を取り直した。

それから一週間ちょっとがたった今日、出頭命令は未だ届かない。まあ、まだ一週間しか経っていないしな。そしてふと思いつく。書留なんだから追跡できるんじゃないか?窓口でもらった領収書を見てみると、なにやらそれっぽい番号が書かれている。郵便局のサイトでその番号を入力すると、僕宛の書留の情報がヒット。追跡できるみたいだ!僕は表示された情報を眺める。

  1. 17日 NA 郵便局で受付
  2. 17日 NA 郵便局で処理中
  3. 18日 ME 郵便局で処理中

二文字のアルファベットは県名を表している。17日、NAすなわちナポリで受付されたのち、18日にMEへ移動している。MEってどこだ・・・?うん?ああ、MEssinaだ、メッシーナシチリアだよ。なんでナポリナポリ宛の郵便物がシチリアへ行くんだよ。海渡んなよ。意味わかんないよ。しかも行ったきり一週間音沙汰ないじゃん。

でも遅くとも10日以内って話だからね、まだ間に合う。がんばれ郵便屋さん!