ナポリを見たら死ぬ

南イタリア、ナポリ東洋大学の留学記。なお実際にはナポリを見ても死ぬことはありません。

イタリアはもうおしまい

www.repubblica.it

2月上旬から中旬にかけて、僕は日本でコロナウィルスの感染が拡大していくさまを見ながら、鼻くそをほじっていた。そして、本来、ちょうど今日日本に戻っているはずだったのだが、日本での感染拡大を懸念して一時帰国をキャンセルしたのだった。結果、イタリアのほうがよっぽどひどい状況になっている。運命とは皮肉なものである。

いま、イタリアで感染の中心となっているのは北部のロンバルディア州ヴェネト州エミリア・ロマーニャ州である。とはいえ、ナポリのあるカンパニア州も無関係ではない。僕の通う大学、オリエンターレも二学期の授業が始まってたった3日間で3月15日までの休校が決まった。これは首相命令によるもので、イタリアの全国的な措置だった。

そして昨夜、さらに厳しい措置が取られることになった。ミラノのあるロンバルディア州ほか、北部の14県が4月3日まで「封鎖」されることになり、ディスコ、映画館、博物館その他人の集まりそうなところは休業が命ぜられ、レストランなども6時から18時に営業時間が制限されるなど、雲行きがますます怪しくなってきた。おまけに、「封鎖」されるというので、封鎖対象の地域から脱出する動きが加速しているようだ。意味がわからない。封鎖するのかと思ったら、列車や飛行機はふつうに動いているようだ。余計に感染が拡大するんじゃないのか。

さすがにこの措置には賛否両論あり、感染拡大を抑えるためには必要な措置だという声もあれば、「いくらなんでもやりすぎだ」という反対意見もある。面白いのが、「家族を引き裂くなんてひどい」という反対意見があることだ。日本だったら「経済はどうするんだ」という反対が中心になりそうなものだが(そういう反対意見が悪いとかおかしいとかいうことではない)、イタリアでは家族に会えなくなるから封鎖しないでほしいというのである。そういうところがイタリアのいいところだ。どこまで行ってもイタリアは愛情に溢れた国だ。

いずれにせよイタリアはもうおしまいだろう。北部の大学はすでに4月3日まで閉鎖されることになっているが、この調子だとオリエンターレもあと一週間で元通り授業が再開されるとは思えない。オリエンターレも4月3日まで休校になる可能性が高い。というか、2週間前に北部のレッドゾーンから帰還した若者が、こちらで散々ディスコに通って踊りまくった挙げ句、陽性反応が出たというので、南もまもなくおしまいになるんだろう。せめて最後の最後までピッツェリアが封鎖されないことを祈っている。